アンティークトレイン

O Gauge Gamages 4-2-2 Loco and Tender "Johnson Spinner" No.650, Clockwork

 第二次大戦以前の1930年代に蒸気機関車と同じく黄金期を迎えたのが、金属製やティンプレートのOゲージ以上の模型です。価格により子供向けの廉価な製品から、現代でも通用する本格的なスケールモデルに至るまで、ゼンマイ式、当時は走りだった電気式、そしてライブスチームという動力方式で、数多くの名品が生まれました。
 これらのビンテージトレインのコレクターで有名だった、英国ロンドントイミュージアムの創設者 Allen Levy氏が復刻した Ace Trainsをはじめとする、最近のイギリス市場に多く見られる、Oゲージ以上の大きさの模型はクラシック感あふれる美しい芸術品とも呼べるような仕上がりで、なかなかの人気ですが、それらをしても及ばない重厚感と独特の存在感がアンティークの模型にはあります。かつての膨大なAllen Levy氏のコレクションの一部は、現在は日本の「バンダイ」が管理し、軽井沢から移転し、栃木県下都賀郡の「おもちゃの町」に開設された「バンダイミュージアム」にてご覧になれます。
http://bandai-museum.jp/

Bassett-Lowke 

 当時の高級品。ゼンマイ仕掛けはHornby O Gaugeなどと比べると、まるで柱時計の機械が入っているような、丈夫で精巧な作りです。

1910~1920年代

O Gauge Gamages 4-2-2 Loco and Tender “Johnson Spinner” No.650, Clockwork
O Gauge Gamages 4-4-2 Loco and Tender “Johnson Spinner” running number 650, Electric

 電気式の模型は先台車の車輪が交換されています。オリジナルはゼンマイ式と同じディスクタイプの小径です。人気のシングルドライバーで少々高価ですが、1920年以前の古い物としては程度の良い物が入手可能です。

Bassett- Lowke O Gauge,GWR Birdcage 2-4-2 Tank Loco, 3611, Clockwork ( by Bing )

 1910年代初頭の製品で、タンク機関車としてはアンティークオークションでは一番の高値ではないかと思います。

Bing for Bassett-Lowke O Gauge 4-4-2 Tank Loco L&NWR black “Precursor” No.44, Clockwork
Marklin for Bassett-Lowke O Gauge 4-4-2 Tank Loco L&NWR black “PRECURSOR” No.44, Clockwork 1920s
Marklin for Bassett-Lowke O Gauge 4-4-2 Tank Loco L&NWR black “PRECURSOR” No.44, Clockwork 1910s

 1910~20年代の物としては、このPrecursor Tankは、値がこなれていて、入手しやすいです。同じBassett –Lowkeでも製造はBing製、Marklin製など、色々あります。当時のドイツのメーカーが英国ブラントに下請けのように製品を納めていた事情が伺えます。

1930年代

Bassett-Lowke O Gauge 4-4-0 “DUKE OF YORK” No.1931, Clockwork

 このブランドの中では廉価版です。テンダーの車番違いで、1920年代の製品から1930年代の製品があります。オークションでもよく見かけます。

Bassett-Lowke O Gauge 2-6-0 LMS “CRAB” No.13000, 3-rail Electric

 スケール感にあふれた製品。数が少なく比較的珍しいタイプです。

Bassett-Lowke O Gauge 4-6-2 LNER green “FLYING SCOTSMAN” No.4472, 3-rail Electric

 当時の販売台数はかなりの数だった様で、予算に応じて選べます。程度により価格もまちまちですが、完全な新同品は以外と見つかりません。ゼンマイ式と3線式の電気模型があります。

Bassett- Lowke Gauge 1,LMS, 4-4-0, Loco “ Compound “ R/N 1000 Live Steam.

1940年代

Bassett-Lowke O Gauge 4-4-0 LMS “COMPOUND” No.1108, 3-rail Electric

 1920年代の終わりから60年代の最後まで、ゼンマイ式と電動で様々な製品があります。Bing製もあります。年代にかかわらず、出来の良さと質の割に、生産数が多いのか、アンティーク市場では廉価で非常に入手しやすい模型です。

Bassett-Lowke O Gauge Coronation Class 4-6-2 Loco and Tender LMS “Duchess of Gloucester” No.6225, 3-rail Electric.

 この時代になると本格的なスケールモデルが登場します。流線型機関車は人気が高く、Ace Trainsが近年復刻したLNER A4 型のBassett-Lowkeのオリジナル製品は特に高価です。

1950年代

Bassett-Lowke O Gauge 4-4-0 BR “PRINCE CHARLES” No.62078, 3-Rail Electric.

 廉価版です。時代も新しいので、きれいな模型が手に入れやすいです。

Bassett-Lowke “Deltic”

 そう言えばかつて「バンダイ」の倉庫にポツンと置かれていました。英国のオークションならかなりの高値です。

Marklin

Marklin Gauge 1 LMS 4-6-2 Bowen-Cooke Tank Loco T.H 1021 Electric 20v
Marklin O Gauge,2-4-4 Flatiron Tank Loco 2000, Clockwork
Marklin O Gauge,LNER 0-4-0Tank Loco, T.1030 Clockwork
Marklin O Gauge,NBR 4-4-2 Loco 505 Electric 3 Rail

 Bassett-Lowkeブラントだけでなく、Marklin ブランドでもO gauge, No1 Gaugeなどで、英国型の機関車を数多く生産しています。中には「おーっと」と思うような英国型らしからぬ外観の製品も混じっています。

Bowman

Bowman O Gauge 4-4-0 Loco and Tender green No.234, Live Steam
Bowman O Gauge 0-4-0 Tank Loco LNER green No.300, Live Steam

 1920から1930年代のOゲージのライブスチームのメーカー。だいたいがタンク廻りが少々焦げた物が多いです。

Bond’s O

Bonds Peckett Dockland Tank0-6-0 S 6-8V Electric 

 1920年代~50年代まで生産されたフリーランス製品。ゼンマイ式もあります。

Bing

 フリーランスのような製品が多いですが、ライブスチームから電気模型、玩具のような製品も含め様々な英国型車両を生産していました。Bassett-Lowke ブランドでも高級機種を生産していました。Table Top シリーズは専用軌道のOOゲージです。

Bing Gauge 3 4-4-0 Loco GNR No.7094 Live Steam
Bing Gauge 1 4-6-0 Loco LMS “SIR GILBERT CLAUGHTON” No.5900 Live Steam
Bing Gauge 1 4-6-0 Loco Great Central “SIR SAM FAY” No.423, Clockwork
Bing O Gauge 4-6-0 Loco Great Western “Windsor Castle” No.4460 Clockwork
Bing for Bassett-Lowke O gauge 4-4-0 Loco Great Western “City of Bath” No.3433 Clockwork
Bing for Bassett-Lowke O Gauge 4-4-0 Loco GWR “Sydney” 3410 Clockwork
Bing for Bassett-Lowke O gauge 4-4-0 Loco LNWR black “GEORGE V” No.2663 3-rail Electric
Bing O Gauge 0-4-0 Tank Loco C R No.112 Clockwork
Bing O Gauge 0-4-0 Loco M R No.2631 Clockwork
Bing OO Gauge Table Top 2-4-0 Clockwork
Bing OO Gauge Table Top 2-4-0 Clockwork + OO Gauge Table Top Great Western Coaches

Leeds (LMC)

Leeds O Gauge 0-4-0 Tank Loco BR black No.68116, 3-rail Electric.1950年代

 1920年代から大戦後の60年代まで、改良されながら生産されたロングセラー

Leeds O Gauge, 0-6-0 Saddle TankLoco WVLR “Diana” ,Electric, 3 Rail 1930年代

 いわゆる特製品のようです。

Leeds O Gauge “Nettle” Railcar 1930年代

 木製のブロックボディに紙が貼ってあります。このメーカーの客車にも同様の紙貼りの木製があります。

Leeds O Gauge 2-4-2 Tank Loco Lancashire and Yorkshire black No.1531, 1930年代
Leeds O Gauge 4-4-0 Loco and Tender LMS black No.624, 2-rail Electric 1940~50年代

Hornby O gauge

 子供向けの玩具のような製品から本格的なスケールモデルまで揃います。レールや客車、貨車が付属したセットもあります。動力はゼンマイ式と3線の電気式があります。
当時はBassett-Lowkeなどに比べるとはるかに廉価な製品を大量に市場に出していたのだと思います。第二次大戦以前のゼンマイ式や玩具っぽい廉価版は、保存状態の良い物が少なく、結構高値です。戦後の製品は見かけは同じように見えてもブリキが薄い、ゼンマイやギアなどの材質が悪いと言う、コストダウンされた製品で、箱付きのきれいな出物が多い割に、あまり人気がありません。

1920年代

Hornby O Gauge No.1 Goods set 0-4-0 Loco Black “ZULU” Clockwork + LNW Open Wagon

 小さいタンク機関車の中ではこの時代の物が1番人気です。

Hornby O Gauge No.1 0-4-0 Midland No.2710, Clockwork

 20年代のNo1シリーズは各パーツが大ぶりで、真鍮の削りだし部品などが使われています。ボディのブリキが厚く、組立は部分的にボルト留めです。人気があり、程度の良い物は高値です。古い物でもゼンマイは問題ない物が殆どです。

Hornby O Gauge 0-4-0  LMS black No.2170, Clockwork

 上記のNo1シリーズと外観はよく似ていますが、バッファーが真鍮製でないとか、各部分材質が変わっています。

Hornby O Gauge 4-4-0 GN No.2711, Clockwork

 初期のHornby O Gauge 製品の中ではしっかりした作りの高級版です。

1930年代

Hornby O Gauge No.0 Silver Link Set 0-4-0 Loco LNER Silver No.2509, Clockwork
Articulated Coaches No.1584 ,1585.

 No 0 シリーズは、ディフォルメされ、玩具然としたティンプレーの製品です。しかしこのセットだけは箱まで揃うとなかなかの高値です。後述のMet toyなどの同じ A4型機関車の玩具と比べて見た目は同じようですが、こちらの方がしっかりした作りです。当時も価格差があったようです。

Hornby O Gauge No.1 0-4-0 LNER No.2900, Clockwork 
M3 0-4-0 Tank Loco LNER No.460, Clockwork

 1930年代の製品では手頃なNo1シリーズ。ゼンマイは小さいので、それほど長時間は走りません。より廉価版の M3 シリーズはロッドも省略されています。片側の動輪だけの駆動なので、少々迫力に欠けます。

Hornby O Gauge No.1 Special 0-4-0 Tank Loco LNER No.2162, Clockwork

 ゼンマイ模型の中では最強です。ディフォルメされたボディは、スケール感には乏しいですが、小さいボディに大型機種と同じゼンマイが入っていて、調子の良い物だと弾かれたように走り出します。実際に走らせて楽しむなら No1 Special シリーズがお勧めです。

Hornby O Gauge E220 2 4-4-2 Tank Loco Southern No.2329, 6v Electric

 初期の電気模型はあまり調子の良い物がありません。特にこの6V仕様は高価ですが、実用性は低いです。ゼンマイ版には当然付いていませんが、電動版の頭の電球は何とかならない物でしょうか。

Hornby O Gauge No.2 Special 4-4-0 GWR ”COUNTY OF BEDFORD” No.3821, Clockwork
Hornby O Gauge No.2 Special 4-4-0 LMS “COMPOUND” No.1185 20v Electric

 Special No2 4-4-0シリーズはこの GWR仕様以外に LMS Compound, LNER 4-4-0, SR L1 と4種有り、シャーシは共通ですが、スケール感を感じられるHornby O Gaugeの高級機種です。ゼンマイ式と電気式があります。スケールモデル風なのに電気式は頭にねじ込み式の豆電球が付いているのが何ともいえません。デザインとしては良いのか悪いのか。Basset-LowkeブランドのMarklin製の機関車がオイルランプを異常に大きく作り、無理矢理中に電球を入れたのと比べると、このあたりはHornbyの合理性を感じます。

1930年代末~40年代

Hornby O Gauge No.E420 4-4-0 Loco Southern “ETON”, 20v Electric

 上記の4-4-0シリーズをさらに充実させた、より高級版のNo4シリーズ。ほとんどスケールモデルと言っても良いしっかりとした仕上がりです。2.3年ほど前までは、どんどん値が上がる、プレミアム品でしたが、近頃 Ace Trainsから復刻版と言うか、完全スケール版が発売されたのが原因か、最近の価格はほぼ安定しています。ゼンマイ式と電気式があります。例の電気式の頭の電球は、このシリーズから付きません。

Hornby O Gauge Princess Elizabeth 4-6-2 LMS No 6201 20V Electric

Hornby O Gaugeの最後の意欲作。本格的な!? スケールモデルです 。Bassett-Lowkeの高級機種にも迫るほど、 アンティーク市場では技術的にも評価も高く、Hornby製品では、一番の高値です。

1950年代~

Hornby O Gauge Type 50 0-4-0 Loco BR No.50153, Clockwork
Type 51 0-4-0 Loco BR No.60199, Clockwork. + LMS Cattle Truck
Hornby O Gauge Type 40 0-4-0 Tank Loco BR black No.82011, Clockwork, 
No.101 0-4-0 Tank Loco LMS maroon No.2270 
MO 0-4-0 Loco and Tender green No.2529 
No.20 0-4-0 Loco BR green No.60985 + 4-wheele Open Wagon

 50年代以降はOOゲージに移行する過渡期で、OOゲージ模型は発売当初は高価だったので、廉価な価格帯を受け持つのが逆にOゲージだったようです。ブリキは薄くなり、ゼンマイの材質も落ちていますが、日本の1950年代年代のゼンマイ玩具と比べれば、まだまだ遙かに丈夫で、しっかりとした作りではあります。MO ,No20シリーズは戦前から続く廉価版の玩具っぽいシリーズで、ゲージこそ同じ32mmですが、車体はかなり小さくなっています。

Mettoy , Chad Valley, Brimtoy, Bing, Astra

 鉄道模型と言うより玩具の仲間に入るのかもしれませんが、HornbyのMO, No 20シリーズと同じような規格です。ゲージはOゲージになります。車体は一般のOスケールの模型よりかなり小さい物もあります。
「外国型」もふくめ様々な製品があります。

Chad Valley Ubilda locomotive kit   Oゲージのティンプレート機関車のキット。ゼンマイ式の動力

1910~20年代の同じGNR のアトランティック型機関車
メーカーにより作りが違います。

Bassett-Lowke Gauge 1 GNR Atlantic 4-4-2 Loco 1442  Live Steam
Bing Gauge 1 4-4-2 Loco GNR “Atlantic” No.1426 Clockwork
Marklin O Gauge 4-4-2 Loco “Atlantic” GNR No.1427,  Clockwork
Bing for Bassett Lowke O Gauge 4-4-2 Loco “Atlantic” GNR No.1442, Clockwork
Carette O Gauge 4-4-2 Loco GNR “ATLANTIC” No.1442, Clockwork

Walker-Fenn ( ” Controlled Clockwork ” Loco )

 ネットで検索しても出てくる画像はそんなに多くありません。動力部分は同じで、先輪が付いた少々ボディが長いタンク機関車とCタンク、形式的には2種有るようです。1920~30年代に製造されたゼンマイ動力のOゲージタンク機関車です。動力部分はドイツの Marklin製と言うことですが、Marklinには同じようなボディのゼンマイ式機関車は製品にありますが、このWalker-Fenn と呼ばれる速度コントロール装置は付いていません。

Walker-Fenn “Controlled Clockwork” Loco 
Marklin O Gauge 0-6-0 Tank Loco LNER green, Clockwork
Marklin O Gauge 0-6-0 Tank Loco LNER

 上の2台の機関車はMarklin製のオリジナルです。普通のゼンマイ式です。ボディはどう見てもこれから紹介するWalker –Fennの機関車と同じに見えます。下段の写真の機関車は逆転機がWalker-Fennの位置と同じです。但し、Walker-Fennでも逆転機の位置が違う物もあります。

Walker-Fenn O Gauge 0-6-0 Tank Loco LNER black No.36, Clockwork
Walker-Fenn O gauge 0-6-0 Tank Loco LMS black No.8, clockwork
Walker-Fenn Ogauge controlled-clockwork Tank.

Walker-Fenn Ogauge 0-6-0 Tank LNER

 キャブ背面の大きな「つまみ」を回すと、キャブ内に見える蓄音機のガバナーのような物が開いたり閉じたりして、速度を可変します。速度を速めたり、遅くしたりは何度でも可能です。低速時はゼンマイ力もセーブされます。この機種は逆転機が屋根側でなく、背面に出ているタイプです。

Walker-Fenn O Gauge 4-6-0 Tank Loco LNER black No.1658, Clockwork

 先輪が付いたタイプ。基本的な構造は同じです。
 Walker –Fenn の走行がご覧になれます。とってもよく走ります。
http://www.youtube.com/watch?v=C3QjRFmYSGk

http://www.vectis.co.uk/Page/Index.aspx

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