HO/OOゲージ  

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 OOゲージ (縮尺1/76 線路幅 16.5mm英国特有の HOゲージのような大きさの鉄道模型)の「きかんしゃトーマス」製品 は1985年から販売されている英国のHornby製品と2002年の暮れから北米市場を主に販売が始まったBachmann USA製品があります。

 Hornby製品の「トーマス」、「ジェームス」など、TVの放映以前から発売されていた関係で、TVのキャラクターに似ていない製品もあります。原型と思われる形式の模型に顔が付いています。中には「エドワード」や「エミリー」のように元になった原型車両が全く違う物もあります。鉄道模型としては耐久性があり、スペアパーツの供給にもメーカーは熱心です。発売以来外観はそのままですが、中身は年々改良されていて、以前は「トーマス」など3軸のCタンクは、真ん中の動輪のフランジが無く、ゴムタイヤを履いていましたが、その後真ん中の車輪もフランジ付きのゴムタイヤ無しの仕様になりました。車輪やロッド類も黒染めになるなど質感も上がっています。ボディが成形色のままだった「トーマス」や「ゴードン」などが塗装のボディになり、台枠が白く塗られ、点灯はしませんが前部のオイルランプも追加されました。また以前のテンダー付き機関車はテンダードライブが主流でしたが、近年は機関車内にモーターを設置するよう改良されています。モーター時代も外観はそんなに変わりませんが、音が静かに成り、走行もスムースです。過去にも何度となく出荷が停止されたことがありましたが、2019年のカタログから落ち、今後の再販は未定となっています。

 Bachmann USAの「きかんしゃトーマス」シリーズ製品はパッケージには HOと表記されていますが、シリーズの貨車や客車は英国型 1/76 Bachmann Branchlinesの製品と同じ金型です。従い基本は OOゲージ製品といえます。機関車や一部の客車は新金型でTVシリーズにほぼ忠実に再現されています。機関車の大きさ的には OOゲージ製品より若干小さくHOサイズとも言え無くもありません。ボディ廻りはキャラクターに忠実故、鉄道模型と言うより玩具に近い感じです。またカプラーは英国型鉄道模型の標準タイプが付属しており、Hornbyの「きかんしゃトーマス」シリーズ製品を始め、一般的な英国型鉄道模型とそのまま連結が可能です。

 キャラクターの完成品模型が発売されていない機種に関しては、モデルになった原型車輌の模型の色をキャラクター色に塗り替え、簡単な修正を加え、「顔」を取り付けることにより、比較的容易にオリジナルキャラクターが出来上がります。改造の種車として御紹介している商品には、既に絶版品で英国の中古市場やアンティークオークションなどでないと入手出来ない物も含まれています。

 キャラクター製品およびキャラクターの原型車輌の完成品模型が発売されていないキャラクターに関しては、キットメーカーのキット製品や特製品も御紹介します。いずれも英国的な商品で一般的に加工度の低い製品が多いのですが、シャーシ周りの規格はほとんどのメーカーで統一されていて、キットメーカ以外のパーツのメーカーから発売されている様々な用途の部品が利用可能です。経営者のリタイアで、いつのまにかメーカー名が変わったりしていますが、基本的に同じような製品が、どこからか発売されていますので、改造やスクラッチ制作には事欠かず、英国の模型事情は工作派には嬉しい限りです。

 英国型機関車はヘッドライトがなく、パイピングも少なく、キット制作には細かい工作作業はそれほど必要としませんが、ボイラー形状がテーパーに絞られていたり、ボディに曲線的なラインを多用したり、塗装は艶ありの仕上げが多く、細いライン模様をボディに入れたりと、別の面でとてもやっかいな作業が多々あります。しかし製作を手助けする、資料のサイト、書籍や図面、塗料、デカールなどは非常に多岐にわたり製品化されています。

 また、かつて英国型鉄道模型は現在の「きかんしゃトーマスシリーズ」やHornbyの廉価版 Railroadシリーズ製品のように玩具的で、大味な模型が多かったので、完成品模型用に、多くのキットメーカーから交換用のシャーシキットや後付用のパーツ類が豊富に用意されていました。好みに応じていかようにもグレードアップが可能でした。近年、英国で主流の OOゲージ (英国規格16.5mm ゲージ) の英国型完成品模型はそのほとんどが中国製になり、設計や考え方も従来の英国的でなく、頑丈で耐久性に富む感じは少々なくなったように思いますが、細かい仕様に作り分けられ、スケール感あふれる精密な模型に変わっています。日本のマニアの方にも理解しやすい模型に変わっています。

 小さいメーカーからは、DCC 対応のパーツやオリジナル音源のサウンドデコーダー、小型のLEDを使用したオイルランプの点灯、発煙装置などの電装関係の改造用部品が盛んに販売されています。運転を楽しむための製品が主流故、展示観賞用としては少々重厚感に欠け、日本製には見劣りする商品が多いのですが、なにより廉価で耐久性に富み、鉄道模型入門用としてはピッタリの物ではないかと考えます。

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