少々毛色の変わった鉄道、車両
少々毛色の変わった鉄道、車両。こんな物も製品化されています。数々の珍品をご紹介します。
Cliff Railway
「崖を降りる鉄道」の様な意味でしょうか。Cliff Railwayと名が付く鉄道は英国内には結構な数存在する様です。運行距離が比較的長いもの、極々短い物様々です。いずれもかなりの急勾配のケーブルカーです。歴史的には100年以上経過した鉄道も少なくありません。有名なのはLynton &
Lynmouth Cliff Railwayでしょうか。この鉄道の車両は水動力で動きます。上と下でタンクに水を入れたり出したりして、その重量差で動くという物です。一般的には電気式の動力です。
これらの軌道で使われている車両は、クラシックな木製もあれば、結構モダンな車両もあります。日本でも良く見かける床が階段式の車両もありますが、殆どは車両の床はフラットでその下に棚受け金具の様な三角形の鉄枠シャーシがくっついた構造の物が多いです。
ホワイトメタルやエッチング製のストラクチャーやアクセサリーキットを販売している英国のLangley Modelsから、CliffRailwayのキットが発売されています。自動運転ユニットが付いたなかなか本格的な製品です。カタログにはOOスケールとNスケールが有りますが、ここ数年Nスケールは注文しても送られてきません。動力部分のモーターや自動運転制御用のコントローラーはどちらのスケールも全く同じ物で、車両のエッチングキットの大きさが違うだけです。レイアウトに使えそうな駅舎もエッチングキットで各々のスケールで発売されています。発売当初は付属の自動運転制御用のコントローラーはきちんとした製品の様にカバーが付いていましたが、最近送られてくるのは中身の基盤だけです。キットの車両のデザインは廻りの雰囲気も含めてSaltburn Cliff Railwayの物が似ているでしょうか。キットの車両に似た実物を探す方が、かえってやっかいだったりして。模型はさすがに水動力ではなく、電気式のモーターでプーリーを回す、単純なケーブルカー方式のようなギミックです。水道力で動かすのは、、、、。
蒸気式モノレール(Listowel and Ballybunion Train )
アイルランドの鉄道は英国本土とちょっと違う、おもしろい興味有る鉄道や車両が色々あります。
上の写真はなんとも奇妙な情景ですが、Listowel &Ballybunion Railwayの蒸気式モノレールです。ラルティーグ方式と呼ばれる、上と下の左右に計3本のレールがあり、上のレールに跨がり、下のレールで車体を支えるといった感じの構造です。19世紀以前から運行されていたようですが、当時は3軸式?の蒸気機関車が牽引しました。1930年以前に廃線になりましたが、なんと現在はListowel’s Lartigue Monorail言う名前で保存鉄道として復元されています。復元された機関車は蒸気機関車ではないそうです。
模型製品として販売されているのはこのペーパーキットのみと思います。
O Gauge Alphagraphix Great Little Engines
E28 Listowel & Ballybunion Train Card Kit (ペーパーキット)
英国にも熱心な工作マニアが存在するようです。
アイルランドの鉄道
アイルランドの鉄道車両はなんというか独特の雰囲気があります。新作車両でも野暮ったいというか、塗装に使われる色合いも英国本土とは何か違います。
模型の世界では、かつてはLimaが当時の新しいディーゼル機関車を1/76 OOゲージで製品化していました。
比較的短命で、その後一時バカ高値が付く、希少価値でしたが、最近はとても質の高い完成品モデルがMurphy
Modelsから出回るようになり、コレクションも楽しみが増えました。よりマイナーな機種(全てが本来はマイナーなようですが) はSilver Fox Modelsからキットやキット組特製品が発売されています。そういえば、おでこに逆三角の白抜きがあり、まるで死に装束ような幽霊みたいなユニークな塗色の機関車があります。
スタンダードゲージ
Murphy Models1/76 OO gauge 16.5mm ( RTR )
新作を精力的に展開しています。少々割高ですが、出来は価格相当、是非お試し下さい。
Silver Fox Models 1/76 OO Gauge 16.5mm (kit , 特製品)
マイナーな機種を隙間を探すように商品化しています。レジンボディと既製シャーシを利用したりと、商品化はとても早いです。しかし正直、価格からするとかなり割高感があります。届いた模型を開ける時のちょっとした「緊張」と「がっかり」がまたマニアにはたまらないのかもしれませんが。
Lima OO Gauge 1/76 16.5mm (RTR)
一時英国のネットオークションで、高値を呼んでいました。
ナローゲージ
独特なアイルランドの鉄道ですが、ナローゲージになると一層、個性的なデザインの車両が増えます。
キット製作が中心になりますが、英国型模型の一つのジャンルとして欠かせません。1/76 OOn3と呼ばれる 12mm ゲージで Backwoods Miniatures からユニークな形をした気動車で有名な County Donegal Railwaysの車両を始め、アイルランドナローの蒸気機関車や気動車がブラスエッチング製のキットで販売されています。このあたりの製品はそれほど注文がないのか、メーカーはOO9のキットのようにはすぐ送ってくれません。 Alphagraphix の Great Little Engine シリーズ Oナローの車両ペーパーキットは英国の模型ショーで、これを元に動力化している人を見たときはびっくりしましたが、手軽に楽しめる良い素材で、種類も豊富です。英国のキットメーカー Branchlines が天賞堂のパワートラックにロッドを付けるキットを販売していましたが、これらの自作っぽいOナローの動力に使用されるようでした。
以前にGゲージでもアイルランドの気動車がLGBから販売されていたことがありました。
County
Donegal
http://www.antraen.com/index.php
http://www.donegalrailway.com/
Backwoods Miniatures 1/76 OOn3 12mm Gauge ( Kit )
1/43 7mm “O “ scale Alphagraphix Great Little Engine ( 21 / 16.5mm gauge )
1/20.3 – 22.5 15mm Scale ( 45 mm )
その他のナローゲージ
Lough Swilly Railway
アプト式 登山鉄道 ( the Snowdon Mountain Railway)
ウェールズには現在、数々のナローの保存鉄道があります。その中でも異色なのが、このスノードン山の頂まで登るラック式の登山鉄道です。営業距離は7.5kmくらいで、およそ900mの高度差を、場所によってはかなりの勾配を上ります、「きかんしゃトーマス」にも、原作の絵本ではモデルとして登場するほど、英国では有名な観光鉄道です。
http://www.snowdonrailway.co.uk/index.php
100年以上前から使われている蒸気機関車が客車を山頂まで押し上げます。この手の蒸気機関車はシャーシがケーブルカーのようにステップ形状になった物が多いですが、この鉄道の機関車は、ボイラーや煙突が前傾していて、機関車の台枠やシャーシは斜めになっていません。勾配の上だと普通に見える、だまし絵のような感じが少々ユニークです。
スノードン登山鉄道を模型の世界で再現するには、「きかんしゃトーマス」の力を借りなければなりません。1/76 のナローゲージとして考えた場合、完全スクラッチなら別ですが、キット製品さえ見当たりません。種車にする物を探すにしても「きかんしゃトーマス」の登山鉄道の話はテレビシリーズには登場しませんので、玩具の種類はそう多くなく、日本のメーカーの物は当然皆無です。現在は既に廃盤のErtl のダイキャスト製の玩具は、スケール的にはちょっと大きすぎます。もっと車体は小さいはずなのですが、なかなか良い物は見当たりません。また下回りのシャーシもラック式の動力というと、使える製品は限られます。その中で、やはりこれしかないという結論が、Ertl 玩具 + Ferro Train のラック機関車です。しかし、このFerro Train のCog Railway Locoは、シャーシがステップ形状です。例のボイラーと煙突は前傾していても、車体はまっすぐという感じが再現できません。車体が大きく前傾してしまいます。とは言え、まあしょうがないかという感じです。また最近は入手しやすいですが、そんなに売れる物でもないようなので、価格が高いです。おまけにゲージが10.5mmです。客車の改造もパーツ探しが大変です。救いはレールに関しては同じメーカーから組立式の物が販売されていて、ポイントもあります。 Ertlの玩具の下回りは簡単に取れますが、Ferro Trainのラック機関車シャーシを組み込むには、かなり内側を「掃除」しなくてはなりません。ボルトのねじ穴の柱などは全て削り取ります。特に” Load Harry ”を使用して作る「6号」機関車はやっかいです。当方の工作はあくまでトーマスキャラクターなので、玩具のボディに動力シャーシを突っ込んだだけです。これはこれで雰囲気としてはなかなかですが、実車の様に仕上げるとなると、まず前傾姿勢が気になるし、ロッド廻りをいじって、細かいライン入りの塗装まで仕上げるには、かなりの根気がいります。なにより動力だけ使ってポイする、Ferro Trainの機関車はそんなには安くありません。
このくらいの勾配は楽に上ります。下りもしっかりブレーキが掛かり、ゆっくりと下りて来ます。但し振動でラックが外れた時に落下しないようご注意下さい。
トラムロコ ( Wishbech & Upwell Tramway )
路面を走る機関車ですが、路面電車の部類とはちょっと違います。「路面電車」と違い車両その物に運転士以外の人が乗ることはありません。「トラムロコ」と呼ばれる車種があります。「きかんしゃトーマス」に登場する「トラムロコ」はいずれもこのイギリス東海岸あたりのの古い町を走っていた、Wishbech & Upwell Tramwayの機関車です。
「きかんしゃトーマス」て有名なったスチームトラムです。
模型製品のほとんどはこのタイプを製品化した物が多いです。1/76 4mm スケールの製品はD&S Models 、Connoisseur Modelsなどのキットがありましたが、最近は入手が困難です。
7mm Oゲージは Connoisseur Modelsのキット製品、Stytrexのレジン製の完成品など、結構流通しています。
No1ゲージ、Gゲージなどでも製品があります。
外観は殆ど変わりません。動輪が2軸と3軸の違いです。「きかんしゃトーマス」のトビーはこちらの3軸が「モデル」と言うことです。
特徴的な外観の蒸気機関車です。10年くらい前は Impetusと言うキットメーカーが4mm( OO )、7mm ( Ogauge )スケールのキット製品を販売していましたが、その後引き継いでいるところはないようです。
「きかんしゃトーマス」に「メイビス」という名前で登場するディーゼル機関車です。
1/76 OO Gauge はBachmann Branchlines から原型のBR Class 04が発売されていますが、肝心のスカートが付いていません。Impetusのコンバージョンキットは、最近は入手が困難です。Alangibsonからもスカート付きのキット製品が発売されていましたが、現在は終了です。スカートが付いたトラムロコを再現するには、いくぶん大きいですが、OOゲージはBachmann USAの「きかんしゃトーマス」シリーズの「メイビス」を以前とは逆に流用するようです。Oゲージ以上はBachmann Ukの金属製の完成品が限定で出回りました。キット製品はClass04は発売中の製品がありますが、スカート部分のImpetusのキットが手に入りません。
両端にデッキが付いたトラムコーチです。D&S Modelsから2軸とボギータイプの2形式がセットになったエッチング製のキットが4mm (OO ), 7mm (Ogauge
)で製品化されていましたが、最近は入手が困難です。
OOゲージは Bachmann USAの「きかんしゃトーマス」シリーズの「ヘンリエッタ」すが、少々デッキの手すりが大ぶりですが、雰囲気はあります。GゲージではGarden Railway Specialistsがボギータイプのと車長の長い製品を発売しています。
蒸気式気動車 (Steam Railcar)
日本では殆ど見られない蒸気気動車ですが、英国では幹線で使われました。Steam Railcar とも Steam Rail Motorとも呼ばれます。
ガーラット式機関車 ( The Garratt Locomotive)
外観からすると、いかにも力がありそうに見える大型機関車ですが、格好の割にはそれほど強力でもないというのが現実です。従って英国内の本線ではそれほど力を発揮することなく、その多くが海外の英国の植民地で長く活躍しました。特に小型のタイプは数多くの種類があります。
模型のネタとしては、そのメカニカルな外観がなんとも最高で、プラキットから大型模型まで魅力的な製品が多数有ります。1/76,1/87でガーラットのキットを多く製品化しているDJHは注文で完成品の状態でも販売しています。但し、価格はキット製品の3倍以上になります。ガーラット機関車の資料写真や模型製品の紹介に関してはこのホームページが詳しいです。
N Gauge
GEM (ボディキット)
時々e-Bay UKにシャーシを組み込んだ完成品が出品されています。その様な物を見つけて入手した方が、手直しは必要としても、案外安かったりします。
OO9 ( 1/76 9mm Gauge )
Backwoods Miniatures
そのまま組んで、形になる数少ない出来の良い英国製キットです。下回りはNゲージと同じ9mmゲージなので、工作は結構細かい作業が必要です。
Hom ( 1/87 12mm Gauge )
DJH
この製品は12mmと16.5mmゲージの物があります。どちらも受注生産で、完成品を販売しています。
HO gauge ( 1/87 16.5mm )
DJH
3種類の植民地仕様のガーラット機関車のキットを販売しています。SAR GMA/M Garratt だけ、Hom ( 12mm ゲージ)とHO スケールの製品があります。キットとしてもかなりの金額になりますが、E117,E168に関しては、特製完成品も受注生産で販売されています。
OO gauge ( 1/76 16.5mm )
Heljan /Hatton’s
過去にキット製品を元に限定品で完成品が出回ったことはありましたが、1/76の量産品としては初のガーラット機関車です。
Kitmaster
Airfix, Dapolと受け継がれ、現在まで一部の製品は発売されていますが、このガーラット機関車のプラキットはKitmasterの時代だけです。英国のネットオークションだと状態の良い未組立品は、OOゲージのホワイトメタル製のキットに迫る相場です。
DJH
英国内仕様のガーラット。
Ks / Nu-cast
メーカーが変わっていますが、昔から製品があります。中身の鋼製は基本的には変わりません。製作は2モーターをお勧めします。キットを組み立てた様々な出来の物が、ネットオークションで手に入ります。下回りを完成品模型のシャーシを組み込んだ物や、きちんと細部まで仕上げられた物などいろいろです。この手の物を入手した方がかえって安かったりします。
Backwoods Miniatures
OOゲージバージョンもあります。シャーシフレームのパーツを組み替えることで、EMやP4ゲージにも対応しています。
On3 ( 16,5mm )
Backwoods Miniatures
O gauge
ETS Praha
3線式のOゲージ。トイトレイン的な製品ですが、良く作り込まれています。
Gladiator Locomotive Kits
LNER/BR Beyer Garratt 2-8-8-2T キット
No1 gauge (1/32 45mm )
Aster Hobby
G gauge
完成品は限定発売のような物が多く、発売時を逃すと入手は困難です。熱とオークションでも人気の機関車です。
Aster Hobby/ LGB
Garden Railway Specialists
LGBのタンク機関車のシャーシを流用するキットです。
Accucraft Trains ( 1/19 )
Loco Box
ダージリン&ヒマラヤン タイプのガーラット機関車を受注生産しています。取引実績があります。ご興味有る方はお問い合わせ下さい。
Gゲージ以上のライブスチームやカスタムビルドのガーラット機関車に関してはこのホームページが詳しいです。
なかなかの力作がご覧いただけます。
その他